歌野晶午
□ 密室殺人ゲーム王手飛車取り
あらすじ
奇妙なニックネームを持つ5人がネット上で殺人推理ゲームの問題を出し合っている。密室、アリバイ崩し、などなど。
ただし、普通と違うのはここで語られる問題は出題者によって実行済みだった……。
とにかく設定に惹かれました。5人のメンバーがテレビ会議機能を使ってチャットを行い、殺人に関する問題を出し合っ
ている。それに対し出題者以外が、密室、アリバイ、ダイイングメッセージなどの謎を解くために推理する。
私がネトミスでやっていた事に近い設定だったので、これは読まねばと衝動買いしました。もちろん我々は実際に犯行を
行ったりはしていませんが。
この話の根本的な問題として出題者は実際に犯行を行う必要がないのでは? というものがあります。どんな理由がある
のかと思いましたが、その点についてはあまり掘り下げて書かれなかったのが残念でした。
ネット上でやりとりする非現実感や現実と仮想空間の区別がつかない連中ということなのかもしれません。自分の犯行を
語る様子もそういった感じです。しかしそれだと納得できない展開もあったりしてちぐはぐな印象を受けました。
あと、出題者の出す問題もだんだんとおもしろみに欠けることになり、問題については竜頭蛇尾だったと思います。
ただ、設定から想像されるようなバカミスとかトンデモではなく、しっかりと作られたミステリでした。
読み終わった後に思い返すと疑問に思うこともありましたが、読んでいる最中はあまり気にする暇もないくらいに話に引き
込まれました。
ネタバレ