米澤穂信
□ ボトルネック
紹介
自分の代わりに、生まれなかったはずの姉がいる世界に迷い込んでしまった主人公の話。
若さのもつ痛々しさを描いた青春小説。
若さのもつ痛々しさを描いた作品と言うことで、過去の自分を思い出したりして身もだえするのかと
緊張していましたが、まったくそんなことはありませんでした。
単に私が歳を取ったせいというばかりではなく、私の周りにこの主人公のようなタイプがいなかった
せいではないかと思います。
まだ「さよなら妖精」のほうが、読んでいて恥ずかしくなるような青春物語でした。
ミステリとしても、謎らしい謎はほとんどなく元の世界と姉のいる世界の違いはなぜ生まれたのかと
いうことを予想するような程度です。もう一つメインの謎らしきモノがありますが、これも小粒です。
ミステリとしてよりも青春SF小説として楽しむのが良いと思います。主人公には共感しにくいので
人を選ぶとは思いますが。思春期を醒めた感じで過ごしたり、達観したかのように思っていたりした
人にとっては楽しめるかと思います。
ミステリだけでなく、話の密度が低いという印象を抱きました。やけに舞台となる金沢の説明が多く
だれてしまいます。また、実際ページ数に対する文字数は少なくて、損をした気分です。講談社ノベル
スの構成が一番好きです。
カラクリリリカルのBさんが思い出されたという言葉は、まさにこの作品を表しているのではないかと
思いました。→「ボトルネック」 カラクリリリカル
ネタバレ